高齢化、過疎化を救うドローン。


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20170621

高齢者が砂漠に取り残される日本。

 

日本で「フードデザート」が知られるようになったのは、10年ほど前からです。

「フードデザート」とは流行のスイーツの名前ではなく、食の砂漠地帯のこと。徒歩圏にお店がなく、毎日の生活に必要な生鮮食料品を買うことが難しい地域のことを言います。

 

近年、過疎化と不景気の影響により、地方のスーパーが続々と撤退しています。このため、近くのお店で食料品を買うことができない「買い物難民」が多く生まれました。

 

スーパーとしては経営が危ぶまれれば撤退はやむを得ない選択でしょうが、買い物ができなくなくなった「買い物難民」にとってはやむを得ないで済むものではありません。

フットワークの軽い若者であれば、車や自転車で少し離れたスーパーへ行くことは少し不便になったという程度でしょう。しかし、足腰が弱くなって移動が困難な高齢者にとっては、食料品を入手する手段が絶たれるわけですから、生きるか死ぬかの問題となってきます。

 

買い物難民ドローン

高齢者の命をつなぐ、移動スーパー。

 

過疎化と不景気の影響でスーパーが撤退した地域で、高齢者の命をつなぐ救世主として注目されているのが、移動スーパーの『とくし丸』です。

『とくし丸』は2012年に起業し、全国36都道府県で移動販売サービスを展開。「買い物難民」を救う移動スーパーとして、メディアでも多数紹介されています。

 

お刺身、寿司、惣菜、お肉、野菜、果物、パン、お菓子、日用品など、300品目もの商品を軽トラで販売する便利な移動スーパーは、買い物をする高齢者自身が、見て、選んで、買えるところに人気が集まっています。

 

「買い物に困っていませんか」

『とくし丸』のドライバーは、対象エリアの民家を訪問してこんな声かけをしています。

「安いよ、安いよ!」「今なら1個サービスで同じ値段!」といった、お客さんの心理を計算高く刺激するようなセールストークはなし。お客さんに喜んでもらうことが大切なので、食品が余って捨てることがないよう、売り止めをすることもあるそうです。

 

ビジネスらしくない消極的なセールストークですが、お客さんである高齢者の気持ちに寄り添い、尊重する姿勢こそがビジネスの成功につながっているのでしょう。

現在、『とくし丸』は全国で200台以上、「買い物難民」の増加に伴い、これからさらに増えると見られています。

 

押し売りであれば断る販売も、自分が買いたいものを買える販売スタイルは地域に受け入れられ、食料品の販売と同時に見守り役としても砂漠にいる高齢者に潤いを与えています。

見守りを主目的とした訪問には嫌がる高齢者も、食料品の販売であれば拒否することはないため、日常の業務がそのまま見守りにつながる『とくし丸』は、多くの自治体と住民の異常を察知したら行政に連絡する見守り協定を結んでいるそうです。

 

 

ドローンが人材不足の救世主になる?

 

今の時代、買い物はお店へ行かなくても、簡単にできます。電話で、パソコンで、スマホで、食料品でもトイレットペーパーでも何でも注文すれば自宅まで届けてくれる便利な時代になりました。

 

しかし、昨今のインターネット通販の拡大により、宅配業者の人材不足、それによってもたらされる労働環境の悪化は深刻となっています。このため、宅配便の運送料金の値上げ、配達時間帯の改定が行われ、お客さんの生活に影響が出始めています。

 

お店での買い物であっても、インターネット通販であっても、そこには人材が必要です。「フードデザート」で「買い物難民」を救っている移動スーパーも同じです。どこで買い物をするにしても、商品とお客さんをつなぐには人材が必要となってきます。つまり、人材不足になればビジネスが成り立たなくなってしまうのです。

 

そこで、「フードデザート」対策として注目されているのが、小型無人機のドローン。

国土交通省は長野県の山あいの過疎地で、ドローンを使った宅配サービスの実験を始めました。人にかわって商品を運ぶドローンの活用は他の自治体でも行われ、将来の本格的な活用が期待されています。

 

過疎地のスーパー撤退、宅配業者の人材不足は、便利さや利益を追求した人間が招いた結果。

人間では行けないような場所を飛んで素敵な景色を見せてくれるように、近い将来、ドローンは私たち人間にはないスキルを使って素敵な未来を見せてくれるのでしょうか。

 

 

・NEWSポストセブン

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170614-00000017-pseven-soci

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