高齢者の介護保険料を軽減へ


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20190509

介護保険料の負担軽減策、低所得者を対象に2019年10月から

 

厚生労働省は、2019年3月29日、所得に対して負担が大きい低所得者高齢者の介護保険料を軽減させるための支援策を通知しました(介護保険最新情Vol.705)。
そのために政令と省令の改正が行われ、3月29日に交付、4月1日から施行され、軽減は10月分から行われます。
保険料の減額が適用される高齢者は非常に多く、生活保護の受給者や、年金しか収入がないなどで住民税非課税となっている方1,100万人以上が対象となります。介護保険料の徴収対象者の3割に当たる大きな施策となっています。

 

年々上がってきた介護保険料

これは介護保険料が年々高くなることで、特に所得の低い高齢者にとって大きな負担となってきたことが背景にあります。年々高齢者人口が増えるに伴い、年々介護給付費等が増大してきたからです。
介護保険制度が開始されて20年が経過しようとしていますが、当初の保険料と比較すると、平均で2倍近く保険料が上がっていることになります。そして、今後しばらくの間は高齢者と介護保険の利用者が増えていくことから保険料も増大していくと予想されています。

 

介護保険料軽減策の仕組みについて

対象者の軽減した保険料を賄うため、保険者となる市町村は、減額した分を介護保険財政ではない一般会計から補填する仕組みがなどが創設されています。今回、これがさらに強化された形になっています。
減額することができるのは、収入に応じて階層に分けられ、それぞれ減額率が定められています。
今回、このための制度である「介護保険法施行令」「介護保険の国庫負担金の算定等に関する政令」「介護保険の医療保険者の納付金の算定等に関する省令」がそれぞれ改正されています。

 

介護保険料はどれぐらい減額となるのか?

現在でも低所得者層に対しては最大で半額程度(55%)の軽減策がありますが、対象者は基準となる所得に応じて段階的に区分され今回の追加軽減により最大となる対象者では7割(70%)まで引き下げることが可能となります。
上昇が続いている介護保険料ですが、高齢者の年金額はほとんど増えていないことから、収入に占める保険料の割合が高くなっています。一定の年金額がある人の場合には年金から天引きで自動的に徴収される仕組みですが、一定金額以下の人の場合には自ら納めなければならず、保険料の滞納なども問題化してきているところです。

高齢者の介護保険料を軽減へ-1

消費税増税分が財源

この保険料軽減策のための財源は、2019年10月から引き上げが予定されている消費税増税分を充てることとされています。
なお、消費税率が8%へ引き上げた際にもやはり増税分を財源とした軽減策の拡充が行われました。以前から今回の軽減策は計画されていましたが、10%への度重なる延期によって見送られてきた形になり、ここに来て通知された形になります。
今後10%の引き上げは中止されない限りはこのまま実施されると見られています。

 

消費税増税の介護サービスへの影響は

 

ほかにも消費税増税分を財源として見込んだ介護職員の処遇をさらに改善するための新しい加算(特定処遇改善加算)の創設や、増税による事業者負担を賄うための介護報酬改定も10月に行われる予定になっています。
特定処遇改善加算自体は、介護サービスの利用者側に負担を与えないものですので、介護サービス事業者としてはできるだけ取得を目指したいところです。

 

介護保険料が軽減される一方で上がる医療保険

介護保険料は軽減され、その恩恵を受ける人も多くいる一方、高齢者の加入する医療保険である後期高齢者医療制度の保険料軽減措置が廃止される方向となっています。そして、この措置は消費増税時に合わせたものです。
そのため、実質的な社会保険料の負担額が軽減される人は少ないのではないでしょうか。

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